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奨学金の返済が難しくなったら~日本学生支援機構の返済猶予制度

日本学生支援機構の奨学金を返還しているうちに、様々な事情で返還が難しくなる場合もあります。どうしても返還が難しくなった場合、様々な猶予制度があります。

奨学金の返還を延滞するとどうなる?

日本学生支援機構によりますと、平成29年度の奨学金貸与者数は約129万人、日本の高等教育機関で学ぶ学生の2.7人に1人が同機構の奨学金を利用しているということです。但し、返済の必要があるにもかかわらず延滞する者も増えていて、平成29年度末における延滞3ヶ月以上の延滞債権額は、2,398億円にもなるということです。

奨学金を延滞すると、延滞している割賦金(利息を除く)の額に対して、返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて、採用年度等により年3~5%程度の延滞金がかかります

また、連帯保証人や保証人へ請求書が送付されてしまいますし、3か月以上延滞が続くと、一定期間は信用情報機関、いわゆるブラックリストに登録され、その間クレジットカードが利用できなくなったり、ローンを利用できなくなったりするなど日常生活に影響が出てしまいます。

そのため、日本学生支援機構では様々な救済制度を設けています。

減額返還制度

減額返還制度は、災害、傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難な方が対象です。減額すれば、返還できるという場合に利用できます。

返済額を一定期間の間2分の1または3分の1に減額し、代わりにその間の返済期間が延長されます。適用期間は12か月(6か月分の割賦金を12か月で返還)で最長15年まで延長可能です。

申請は減額返還の開始を希望する月の2か月前までです。申請にはマイナンバーの提出が必要です。

但し、平成29年度以降採用の第一種奨学金「所得連動返還方式」選択者は減額返還を申請することはできません。

令和2年5月現在、減額返還を申請する「経済困難」事由の収入基準額は、給与所得者は年間収入300万円(給与所得者以外は年間所得200万円)です。

「経済困難」事由の収入基準額を超える場合でも、定められた特別な支出を控除して収入基準額以下となる場合、申請が可能になります。

・本人の被扶養者について1人につき38万円を収入・所得金額から控除して審査(新設)
(従来の「親等への生活費補助の控除」は48万円から38万円に変更)
・減額返還適用者は一律25万円を収入・所得金額から控除して審査(新設)

詳しくは日本学生支援機構のホームページで確認してください。

所得連動返還方式

平成29年4月以降から、新たな所得連動返還型奨学金制度が始まりました。奨学生(返還者)の所得に応じて返還月額が決まる仕組みにより、無理なく返還ができるよう設けられた制度です。これに対して、それまで一定の金額を返済してきた方式を「定額返還方式」といいます。

平成29年度以降の第一種奨学金採用者から利用でき、機関保証制度を選択していること、マイナンバーを提出することなどが条件です。

毎月の返還額は、課税総所得金額に9%を乗じて12で割った額(1円未満の場合の端数は切り捨て)で、その額が2,000円以下になる場合は2,000円となります。

返還期限猶予

災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合は、返還期限の猶予を願い出ることができます。返還期限の猶予は、一定期間返還期限を延期する制度であり、返還すべき元金や利息が免除されるものではありません。

返還免除

本人が死亡し返還ができなくなったときや精神若しくは身体の障害により労働能力を喪失、又は労働能力に高度の制限を有し、返還ができなくなったときは返還が免除されます。第一種奨学金(無利息)、第二種奨学金(利息付き)で利用できます。


奨学金を延滞する学生の中には、このような制度があることを知らなかったというケースも多いようです。このような救済制度が存在することを知っておいた上で、延滞する前に、必要な手続きを取る他、日本学生支援機構の奨学金返還相談センターに相談することが大切です。

参考: 日本学生支援機構「返還に関するお問い合わせ」